灰色の川を眺める。
流れは、激流。
或いは濁流。
密かに清流。
隠れた名水を求めて、零コンマ壱以下の世界はなおも動き続ける。
ひとえに「水」と言っても、硬水から軟水まである。
江戸には「もとの濁りの〜」なんて言われもある。
各々方、自分に相応しい「水」を求め、零コンマ壱以下の速度で動き続ける。
彼は、過失犯では無かった。
− 確信犯だった。
・・・いや、それも違う。
本当のところは、愉快犯かも知れぬ。
「・・・無性に、腹が立った。 我慢ならなかった。」
混乱に乗じて、高らかに笑った。
嘲るように、笑った。
− 賽は、投げられた。
知らぬ間に、和太鼓の音が響いている。
重低音が胸に染みる。
・・・痛い。
ボソリ、と誰かが言った気がした。
「ウゼェ。」
泡沫に揺らぐ「v」と「v」の結合。
ヴィクトリーを象徴する文字を重ねれば、
ほら、嘲笑の完成じゃないか。
「馬鹿にされた。 だから、やり返す。
ただそれだけ。 ・・・一体ドコに間違いがある?
俺に間違いなんか、どこにも無いじゃないか。」
まるで、エコー。
まるで、鏡。
自分に相応しい「水」を求めて、
また一人、やってきた。
やってきた彼は、それを黙って見つめていたが、
暫くすると、クスリ、と笑った。
「楽しんだ者こそ、この祭の勝者なんだよw」
宴の夜は、ただ深まるばかりだった。
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