春雨

霞んだ風景の絵を描いてみても 何一つ変わらないのは 心

どうしても戻らない記憶があるのなら 今では取り戻す術すら探そうとしない

悲しみは薄れて 気持ちだけ次へと向かう 新しい道だけを見つめていた。


冷たいはずの雨なのに 信じているのは 何故?

心を見つめるたび 映らない事を知ってゆく 

それなのに どうしてこんなに 不確かな信頼を置くのだろう?


墜落した飛行機のような音を立てた 春雷が 崩れていく

通り過ぎた あの雨は 窓際を濡らしていって

春の夜の あの夢は 霞と共に消えてった

秋の空を 見上げてた あの頃は見えない。


水滴を落として 通り過ぎた 春の雨は

心の濁りまで 溶かしていってくれればよかったのに

都合よく 理屈をつけ 遠ざかろうとしていたのに

今はもう どんな理由も 聞き入れられないかもしれない。


通り過ぎた季節なのに また 今日も 置いていくの?

冷たい雨に似せて 降らせた 遠回し

何気ない 一言すら 優しくは出来ない


コルクボードの思い出は 棚の荷物に化していく

残しておく物よりも 画鋲の数が増えていく

春雷のせいに 決め付けて 遠く 冷たい 雨を降らした

言葉 よりも 心が 何も出てこない


春の夜の あの夢は 雨と共に消えてった

冬の風を 受けていた 風景画はかすれて


遠い空を 撫でてった 雨雲 今も 浮かんでた

秋の空を 見上げてた あの頃は戻れない。


春の雨 上がらない。


©2005 Himajin. All Rights Reservd.


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